2025年6月11日(水)、米国・テキサス大学サンアントニオ校 (University of Texas at San Antonio) の Chris Packham 教授が本センターを訪問しました。諸隈・秋田谷を交えた意見交換・情報共有では、赤外線・偏光観測の今後、NASAが構想を進める次世代宇宙望遠鏡 Habitable Worlds Observatory (HWO)、大学教育における講義の効率化など、多岐にわたる話題について議論が交わされました。また、本学高度技術者教育プログラムの見学も行われ、惑星探査研究センターの原田研究員がプログラムの具体的な内容について説明を行いました(下写真)。Packham氏は、「こういった実践的な教育プログラムを、まさにテキサスでも導入したいと考えていた。素晴らしい。」と強い関心を示され、大変高く評価されました。見学や意見交換を通じては、システムエンジニアリング、ロケット、学生向け教育プログラムの構築などがキーワードとして挙がりました。わずか半日の滞在ではありましたが、観測技術や天文学の将来像、そして次世代の人材育成に至るまで、今後の研究や教育の展開に対する新たな示唆も得られました。今回の訪問は、将来的な国際連携の可能性を見据えるうえでも、大変有意義な機会となりました。
Author: Tomoki Morokuma
常田所長 マンスフィールド財団・国際交流基金共催 日米交流プログラムで講演・討論
U.S.–JAPAN NETWORK FOR THE FUTURE STUDY TRIPは、マンスフィールド財団と国際交流基金が共催する日米交流プログラムです。将来、政策・学術・産業分野を担う日米の若手から中堅のリーダーを対象に、相互理解の促進と人的ネットワークの構築を目的としています。 本プログラムでは、日米双方の政府機関、研究機関、大学、企業などを訪問し、安全保障、科学技術、経済、社会課題といった幅広いテーマについて、専門家や関係者との意見交換が行われています。 常田所長は2025年6月11日に「Leap ahead with Japan’s Space Policy and “America First”」と題した講演を行い、株式会社アストロスケール COO のクリストファー・ブラッカビー氏と討論を行いました。 マンスフィールド財団: https://mansfieldfdn.org/jp/programs/network-for-the-future/国際交流基金: https://www.jpf.go.jp/j/project/intel/exchange/future_network/index.html
SKA天文台・浅山氏来訪
国際共同で進められている世界最大級の電波望遠鏡プロジェクト「SKA (Square Kilometre Array)」の運用母体であるSKA天文台 (SKA Observatory; SKAO) の浅山信一郎氏が訪問しました。 SKAは、オーストラリア・南アフリカに設置される多数のアンテナを電波干渉計技術により連携させ、仮想的に大きな高感度電波望遠鏡として機能させる国際プロジェクトです。宇宙再電離、銀河形成、パルサー観測による重力理論・重力波背景放射、宇宙における磁場の起源の研究などがその科学的目標に設定されています。 訪問中は、SKAにおける先端的な観測技術や、低周波電波天文学の国際的な潮流についての情報共有・議論が行われました。また、浅山氏が推進している簡易型電波望遠鏡を用いた教育実践についても意見が交わされ、研究・教育の両面にわたる情報交換の機会となりました。 本学が進める高度技術者育成プログラムの見学も実施され、惑星探査研究センターの原田研究員による案内のもと、学生や実践的な取り組みを視察いただきました(写真参照)。一連の意見交換では、電波天文学の専門的な知識を元にした議論に加えて、時には学生も交えて、教育や研究環境の将来像についても活発な質疑・議論が行われ、学内外をつなぐ貴重な交流の機会となりました。
常田所長 第11回日印科技合同委員会に出席
常田所長は、2025年6月5日にニューデリーのインド科学技術庁で開催された第11回日印科技合同委員会に出席し、「Thirty Meter Telescope Project (TMT) – Go Beyond Boundaries –」と題した発表を行いました (写真)。発表後の質疑応答では、インド科学技術庁国際局のPraveenkumar局長から、日印協力の意義やこれまでの取り組みを評価する発言がありました。 外務省: https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/pagew_000001_01708.html国立天文台: https://tmt.nao.ac.jp/blog/1931
常田所長 NASAの予算削減について語る
常田所長は、米政府によるNASA予算の削減提案について、朝日新聞のインタビューに答えました。詳しくは以下の記事をご覧ください。
みなと科学館にて一般向け講演実施
2025年6月1日(日)、諸隈主席研究員が東京都港区立みなと科学館にて一般向け講演「超巨大ブラックホールの“食事” 〜明滅する宇宙の怪物〜」を行いました。本講演は、プラネタリウムドームにスライドを投影する形式で実施され、天文学普及プロジェクト「天プラ」代表である高梨直紘氏(東京大学)による進行・解説のもと、小学生から大人まで幅広い年齢層の来場者に宇宙の魅力を伝える機会となりました。 講演では、銀河の中心にある超巨大ブラックホールのまわりで起こっているの激しい現象について紹介するとともに、後半では、諸隈研究員が現在進めている最前線の研究内容にも触れました。講演後には多くの質問が寄せられ、参加者との活発な対話を通じて、研究の今後の展開について新たな視点を得る貴重な機会にもなりました。
文科省 常田所長に科学技術教育アドバイザーを委嘱
写真: 文部科学省での科学技術教育アドバイザーの委嘱式。前列右から2人目が常田所長。中央は提案者の赤池誠章参議院議員、その左は赤松健文部科学大臣政務官、右端は井上科学技術・学術政策局長 (2025年5月22日)。 STEMという言葉をご存じでしょうか?STEMとは、以下の4つの分野の頭文字をとった言葉です: STEMは、これらの分野に関連する教育・研究・職業を総称する概念であり、21世紀のイノベーションや経済成長を支える基盤とされています。STEM教育は、論理的思考力、問題解決力、創造力を養うことを重視し、グローバルな競争力を持つ人材の育成を目的としています。 STEMはご存じの方も多いと負いますが、STEAMはどうでしょうか?STEAMは、STEMに「A=芸術・創造性」の要素を加えた教育アプローチで、理系と文系の融合による創造的思考力と課題解決力の育成を目指します。デザインや表現力、文化的視点を取り入れることで、より柔軟で革新的な人材を育てることが期待されています。 文部科学省は、STEAMの推進のため科学技術教育アドバイザー制度を立ち上げ、常田所長が科学技術教育アドバイザーの一人に任命されました。常田所長の科学技術教育アドバイザー就任に当たってのモチベーションは以下の通りです: また、この内容は2025年6月2日付の週刊文教ニュース(2856号)に掲載されました(下写真)。 2025年、常田所長は科学技術教育アドバイザーとして以下のような活動を行いました。 ・岐阜大学での「宇宙工学講座」開講式でのNASA特別講演実施 (2025年6月22日) 常田所長は、2025年6月22日に行われた、高校生を対象とした岐阜大学主催の「宇宙工学講座」開講式にて、アンディ・マッシオーラ NASA アジア代表による特別講演「NASAと宇宙探査 (NASA and Space Exploration) 」を企画・実施しました、講演会には、高校生に交じって、江崎禎英 岐阜県知事、吉田和弘 岐阜大学長も出席され、盛況でした。聴衆の高校生からは多くの質問があり、その一つ一つにマッシオーラさんが丁寧に回答されていました。「参加した高校生たちが今後それぞれの進路を歩んでいく中で、マッシオーラさんのお話がを心に残ることと思います」と常田所長は語ります。 ・岐阜工業高校を訪問 (2025年10月19日) 常田所長は、2025年10月19日、岐阜工業高校を訪ね、堀秀樹校長との懇談と実習施設の見学を行いました。堀校長を初め先生方の技術者教育に取り組む熱意、学生の質の向上と高い就職率・進学率についてのご説明、岐阜県や民間企業の協力による実習設備の充実等に強い感銘を受けました。工業高校の卒業生が、これからの日本の技術の現場を支えるようになるとの認識を新たにした訪問でした。訪問に当たっては、岐阜大学の宮坂武志教授にお世話になりました。記して感謝いたします。 ・岐阜大学での講演 (2025年10月20日) (2025年12月22日追記)
すばる望遠鏡PFSを用いた重力波イベント追観測を実施
2025年3月28日、重力波望遠鏡ネットワーク (LIGO・Virgo・KAGRA) が重力波イベント S250328ae を検出しました (GCN 39898)。このイベントは、天球上での到来方向が約25平方度 (90%存在確率) という比較的高い精度で決定されました。重力波の波形から、ブラックホール同士の合体により放射された重力波であると考えられ、そのような合体現象が電磁波を放射するかどうか、放射する場合は起源の特定が追観測により期待される事例でした。 私たちの研究チーム (The Japanese Collaboration for Gravitational-Wave Electro-Magnetic Follow-up; J-GEM) は、すばる望遠鏡に新しく搭載された多天体分光装置 Prime Focus Spectrograph (PFS) を用いて、S250328ae の到来方向に位置する近傍の銀河や、他望遠鏡によって発見された突発天体に対する分光観測を実施しました。観測した突発天体の多くは、南米チリにある 4m望遠鏡CTIOの広視野カメラDECamを用いて研究を進める DESGW (Dark Energy Survey Gravitational Wave) チームとの共同研究により提供されたものでした。また、この観測は、2025年3月のPFSの運用開始後の最初の観測ランにおいて行われた、PFSを用いた初のToO (Target-of-Opportunity) 観測(*)となりました。…
常田所長 東京大学宇宙線研究所の国際外部評価に参加
東京大学宇宙線研究所(ICRR)の研究活動を外部有識者が評価する「ICRR外部評価委員会」が2025年5月14日から3日間、東京大学・柏キャンパスの宇宙線研究所で開かれました。常田所長は、同委員会の委員長を務めました。詳細は、以下の東京大学宇宙線研究所の発表をご覧ください。日本語版: https://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/news/16433/英語版: https://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/en/news/16447/
朝日カルチャーセンター横浜教室にて講演
5月17日(土)、朝日カルチャーセンター横浜教室にて、諸隈研究員が「すばる望遠鏡25年の挑戦」講座の第3回を担当し、「動的宇宙の解明:すばる望遠鏡と時間軸天文学」と題して講演を行いました。 講演では、すばる望遠鏡の最大の特長の一つである主焦点広視野撮像カメラSuprime-CamおよびHyper Suprime-Camの紹介に始まり、それらを用いた時間軸天文学の研究成果として、超新星爆発やマルチメッセンジャー天文学に関する話題が紹介されました。共同利用観測が始まったばかりの新観測装置PFSや、すばる望遠鏡を用いた時間軸天文学の今後の展望についても触れられました。講演後には、対面・オンライン双方から非常に質の高い質問が多数寄せられました。
