諸隈 智貴
研究打ち合わせのため、2月末からオーストラリアに来ています。
パースの University of Western Australia で約10日間過ごし、3月7日からはシドニー・Marsfieldにある CSIRO (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation) の ATNF (Australia Telescope National Facility) に滞在しています。
昨年、約3週間の滞在中にATNFのBaerbel Koribalski氏と”奇妙な電波サークル” (Odd Radio Circles; ORCs[*])に関する共同研究を開始しました。今回の滞在では、最近取得した Keck 望遠鏡 KCWI による可視光面分光データ の解析結果をもとに、その電波放射の起源を明らかにすべく、議論を重ねています。まだ道半ばですが、できるだけ早く成果を発表できるよう、研究を進めています。また、近くにあるMacquarie Universityのスタッフで可視面分光の専門家であるAngel Rafael Lopez Sanchez氏との議論も大変有意義なものとなりました。
CSIRO/ATNFのMarsfieldキャンパス は、シドニー中心部から車で約30分の郊外に位置し、広い野原の中に電波望遠鏡が設置されています(写真)。この時期の気候は温暖で雨も少なく、非常に過ごしやすい環境で、大変気に入っています。
CSIRO/ATNFでは、研究セミナーの開始時に、司会者が現地の先住民への敬意を表する文章を声に出して読み上げていたことが印象的でした。天文学で用いられる望遠鏡の多くは、開発の進んでいない人里離れた地域に建設されますが、その中には、古くからその地域に住む人々にとって神聖なシンボルとなっている場所も少なくありません。私たちは日々の研究活動において、その事実を決して忘れてはならないと改めて感じました。科学研究もまた社会や文化の中で営まれている営みであり、国際的な研究活動を進める上でも、その土地や文化への理解と敬意が重要であることを意識させられる出来事でした。[2026/03/16追記]
[*] ORCについてはsoraeのページ等をご参照ください。
